上花輪歴史館とは…

上花輪歴史館とは…

《ご挨拶》
上花輪歴史館は、上花輪村に古くから居住し江戸時代には当村の名主であり、
また醤油醸造を家業としていた高梨兵左衛門(たかなし ひょうざえもん)家[高梨本家]が、
永年に渡って保存してきた歴史的価値の高い居宅・庭園・土蔵・屋敷林・社祠等と、
その中に収蔵されていた生活用具・醸造用具・地方文書・醸造文書等を一般に公開して、
郷土の歴史と文化を研究する一助にしていただきたく、平成6年に開設いたしました。

従って、展示館の中に収められているものばかりでなく、屋敷全体が展示物ということになります。

当館の資料はいずれも高梨家で出生し高梨家に保存されていたもので、此処に存在しているから
価値があるというものばかりです。

邸内の建築物は、明和3年(1766年)築の門長屋から昭和6年(1931年)築の母屋に至るまで、
18世紀中葉から20世紀初頭にかけての建物が混在していますが、全体として調和を保っております。

また、邸内北側にそびえるタブの大木を山に見立て、西側に広がる屋敷林と共に「西に森、北に山」
という江戸時代の屋敷建築の基本を、今に伝えております。

当館は平成6年(1994)に千葉県の文化財(名勝)、平成13年(2001)には国の文化財(名勝)の指定を受けました。
名勝というのは、屋敷内全体が文化財という分野で、千葉県では当館だけが受けた名誉です。(※)
今後もこの名誉を汚す事のないよう、努力して参りたいと思います。

皆様の格別のご愛顧をお願いいたします。

公益財団法人高梨本家 上花輪歴史館
館長 高梨兵左衛門

(※)現在では、平成27年(2015)に「旧徳川昭武庭園(戸定邸庭園)」「旧堀田正倫庭園」が、平成28年(2016)に「屏風ケ浦」が名勝指定されています。

名主として

江戸時代、上花輪村の名主(ナヌシ)を務めた高梨家。
村政に纏わる文書や、飢饉に備えて籾などを備蓄していた「籾蔵(モミグラ)」、飢饉に際しての困民救済に対する顕彰碑、村の人々へお触れを知らせる高札場跡地など、多岐にわたる文物が残されています。

醤油醸造家として

高梨家は寛文元年(1661)より醤油醸造を始めたといわれ、江戸川を通じて江戸へ醤油を出荷していました。

文政12年(1829)には幕府の御用醤油となり、天保11年(1840)の「関東醤油番付」では東の大関に挙げられています。

高梨家では江戸時代を通じて200以上の銘柄を送り出していますが、その最上品が、ジョウジュウ印でした。

上花輪歴史館には、大正6年に、縁戚関係であった野田町の茂木家(本家・分家)・流山の堀切家と共に野田醤油(キッコーマンの前身)となるまでの史料や仕込みの道具などが残されています。

名勝「髙梨氏庭園」

現在、敷地全て及び隣接の欅(ケヤキ)並木が、国の名勝に指定されています。

明和3年(1766)築の門長屋や文化3年(1806)改修の書院、昭和6年(1931)築の数寄屋造りの母屋、鞍馬石をふんだんに使用した昭和の庭園など、江戸時代から昭和3~6年(1931)まで度々の改修を重ねながら受け継がれてきた姿をお楽しみください。

館内のご案内

昭和17年改築の冠木門(カブキモン)を潜った先には、1町歩(約3000坪/約9900㎡)の敷地内に、明和3年(1766)築の門長屋(モンナガヤ)、文化3年(1806)改修の書院、昭和6年(1931)築の数寄屋造り棟
庭には明治10年代(1880頃)築の神楽殿や、離れの眺春庵(チョウシュンアン)(昭和6年改築)が、時代を超えて調和しつつ点在している。

書院前庭は、黒松と柏を主木とする邸内でもっとも格式の高い庭であり、住宅内からは書院前庭・残月亭前庭・十二畳(主人室)前庭など、それぞれの景色を楽しむことが出来る。
また、「北に山・西に森」という風水思想に基づいて設計されていると言われており、南面する表玄関前より住宅部後方には山に見立てた椨(タブ)の大木を望み、敷地の西側には榧(カヤ)や榎(エノキ)などで構成される屋敷林が、屋敷を守っている。

北側には、自然の地形を生かした堀が作られ、幕府の許可を得て作られた石垣が築かれている。構堀(カマエボリ)と称されるこの堀には船着場も備えられ、家人が江戸川の河岸へ出たり、堀の清掃などに使用された。

敷地の南西に広がる駐車場は、高梨家の元蔵(モトグラ)と呼ばれる最も古い醤油蔵の跡である。
道路を挟んだ南側にある煉瓦蔵(キッコーマン所蔵)は、旧高梨家辰巳蔵(タツミグラ)である。
冠木門を出て右、江戸川方向へ進むと、駐車場の先には観音堂、その先に欅並木が続く。
観音堂は宝暦3年(1753)建立(鳥居は宝暦10年(1760))、安永4年(1775)修復。建立に際しての入用帳が残されている。
欅は醤油の絞り機などに使用する材でもある。近年(平成以降)に高梨家及び公益財団法人高梨本家の土地から伐採された欅は、駐車場に寝かされて乾燥され、使用される日を待っている。

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